◆耐えること、逃げること
「もうこのままでは無理かもしれない……」
「これをずっと続けるのはしんどい……」
「でも、自分にはこれしかないから…」
学校や職場でそんな風に感じた経験はありませんか?
日本では、「石の上にも三年」と言われるように
どんなに辛くても、辛抱強く我慢していれば、必ず良い結果が得られるという意味のことわざがあり
多くの人がこのことわざを胸に自分を縛り、周りの目を気にして、辛くても我慢をしています。
そして、我慢こそが美徳である。我慢できないのは甘えだ、弱さだ。と
自分や他人を知らずのうちに追い込んでいます。
ですが、私たちは日々の生活の中で、知らず知らずのうちに限界に近づいてしまう瞬間があります。
これを書いている私も、我慢をしていた時期があり、心身を壊していた時期がありました。
でも、その時にふと思ったんです。
「逃げたらダメって言われているけれど、本当に逃げたらダメなのか?」
「こんなに辛いのに我慢するしかないのか?」と。
先ほども述べましたが、私たちは、小さい頃から
「最後まで頑張ることが美徳」「途中で諦めるのはダメ」「決めたなら最後までやり切ること」
と教えられてきました。
そのため、辛くても我慢し続け、自分の限界を越えて心身を壊してしまう人も少なくありません。
でも、それって本当に正しいのでしょうか?
限界を迎えて壊れてしまった心や体は、ゲームのように簡単には元に戻りません。
だからこそ今、「逃げる」という選択肢について、改めて考えてみませんか?
◼ 逃げることは“生き残る”という選択
「逃げるとは生き残ること。賢い人は逃げ道を知っている。」
この言葉の意味を、あなたはどう受け止めるでしょうか。
私たちは火事に遭遇したとき、避難経路や避難場所を探し、命を守るために逃げます。
そしてそれは当然の行動であり、誰もそれを「甘え」だとは言いません。
ところが、人生における火事。
つまり、精神的な限界や深いストレスに直面したとき
私たちはなぜか「逃げる」という選択肢をためらってしまいます。
まるで、その苦しみに耐えることこそが正義かのように。
もちろん、耐えることで成長できる場面もあるでしょう。
スキルや人脈が手に入ったり、忍耐力が鍛えられるかもしれません。
でも、ただただ毎日同じ作業に、上司からの罵倒。
終わらない仕事で残業が続き、挑戦も成長もできない。
そんな誰が見ても苦しいと思えるような場所では
「逃げる」こともまた生き延びるために必要な戦略です。
本当に辛いとき、どう逃げるかをあらかじめ知っておくこと。
これは、自分を守るための“準備”であり、弱さを認められた自分の”強さ”でもあります。
◼ 逃げ道を「知っておく」という備え
逃げ道を作るためには、逃げ方を知っておく必要があります。
これらは、実際に今すぐ使わなくても構いません。
でも、いざというときの「選択肢」として知っておくことが、あなたの心の余裕につながります。
火災などと同じで、事前に避難経路を知っていれば、焦らず、確実に逃げられる。
人生にもそんな、その時はこうすればいいや。という“逃げ道”を持っておくことが重要なのです。
◼ 逃げることは「弱さ」ではない
逃げることに罪悪感を抱く人は多いです。
「周りは頑張っているのに、自分だけ逃げるのはずるい」
「逃げたらもう二度と立ち直れない気がする」
そんな風に、自分を責めてしまう人、怖くなってしまう人も少なくありません。
でも、覚えておいてください。
逃げることは、今いる場所から一時的に離れるだけでもいいんです。
そこから完全に消えてしまうのではなく、“次に進むための一歩”としての逃げです。
限界を超える前に、余裕を持って身を引く。
次に進むために、ちょっと休憩する。
逃げることは、むしろ自分が自分をよく知っている証拠であり
人生に対する真面目で賢い向き合い方です。
我慢を美徳とする文化の中で、逃げることを許せない空気もあります。
でも、みんながそう言っているからと自分は何も考えず、それに従うのも違います。
もちろん、みんなと違うことをするのは怖く、勇気がいることです。
だけど、みんなと同じだからと言って
他人があなたの心と身体を守ってくれるわけではありません。
あなたの人生を守るのは、あなただけです。
◼ 周りの目を気にしすぎないこと
私たちはつい、「他人の目」を気にしてしまいます。
職場での評判、親や家族の期待、SNS上での印象。
でも、人生が苦しくなったとき、他人はあなたの苦しみを代わってはくれません。
だから、周囲の期待や評価を優先して、自分を削ってまで頑張る必要はないです。
無理をして壊れてしまうより、一度逃げて、回復してから戻るほうが、ずっと健全な選択です。
◆死ななければ、何度でもやり直せる
「逃げる」という選択は、人生の終わりではありません。
むしろ、もう一度自分を取り戻し、再出発するための“最初の一歩”です。
心が壊れてからでは遅い。
壊れる前に、「逃げる力」を持っていてください。
それは、あなた自身と、あなたの未来を守るために、必要な備えです。
だから、もし今「限界かもしれない」と思っているなら
今日、ひとつだけでいいから自分の逃げ道を考えてみてください。
退職代行、家族との対話、公的な制度、自分を受け入れてくれる人なんでもいいです。
その“選択肢”を持っているだけでも、心は少しだけ軽くなるはずです。
逃げることは、負けじゃない。
逃げることは、自分を守る必要な行動。
さあ、あなたも逃げる勇気と道を持ちましょう。
おわり。
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